立川農園の立川幸宏さん(川崎市麻生区)

──年間何種類くらいの野菜を作っていますか?その中で力をいれている野菜はありますか?

少量のものも含めると30種類ほどの農産物を生産、販売しています。力を入れている野菜はハウスを利用して栽培しているトマトとキュウリです。トマトは3品種で年間5000本、キュウリは3品種で年間2400本とたくさん生産しています。

──農家になろうと思ったきっかけや経緯を教えてください。

農家の長男に生まれ、いつかは跡を継ぐのかな?とは思っていましたが、父親からは「自分がしたいことをすればいい」と急かされることはありませんでした。なので、私は会社員として働き、休みの日に多少手伝う程度でした。

しかし、祖父母が歳をとり、思ったように仕事ができなくなってしまい、畑に手が回りきらなくなっている姿をみたときに、「これは、私が就農して、一緒に畑を守っていかなければならない」と決心しました。

──最新型のハウスを昨年に導入されたそうですね。新しいハウスを導入されたきっかけを教えてください。

就農してからは、祖父母の助手として仕事を手伝いながら、農業の基礎知識や仕事の進め方などを叩き込まれました。

基礎知識を身につけながら、自分なりに考え、より良い農業ができるようにするためにはどうすればいいか考えていました。

もちろん祖父母がやってきた農業から学ぶことは多かったですが、自分の家の農業だけでは足りないこともあると思い、技術の習得のために、農家の友人と意見交換をしたり、他県へ視察に行ったりもしました。

その中でも、岐阜県のトマトハウスへ視察に行ったときに見た栽培方法に心が動かされ、わたしも、ここと同じ栽培方法で農業をしたいと思ったことがきっかけです。

──最新型のハウスには、どんな特徴がありますか?

一番の特徴としては、クールパッドシステムです。これは、気化熱を利用しハウス内を冷却するものです。これにより夏場の急激な温度上昇を抑えることができるので、植物にとっても働く人にとってもいい環境を作ることができます。

また、環境制御とモニタリングできるシステムを導入しています。これにより、温度・湿度・日射量・CO2などを複合的に管理することができます。

──IT技術を導入したことで、立川さんの農業はどう変化しましたか?

ハウスの中の状況が「見える化」されたのは大きな変化ですね。今までは、自分の感覚で「乾いているから3分水をあげようか」など、長年の経験や勘でやっていたのですが、常に適正な環境を作り出せるようになりました。

外出しているときに、晴れてくるとハウスが暑すぎないかと心配になることも多かったのですが、スマホで状況を確認できるようになったので、気持ちの面でも楽になりました。

しかも、自分がいなくても、機械が勝手にやってくれるようになったのは大きいです。

──トマト農家としての一年の流れを教えていただけますか?

このハウスでは、7月末までに栽培の準備をします。準備が完了すると、8月に苗を植え付けます。生育状況を見ながら、管理作業をしていくと10月上旬からは収穫が始まります。収穫は毎朝で、これが7月上旬まで続きます。

収穫が終わるとハウス内を片付ける。というのが1年間の流れです。じつに、9カ月もの間トマトを収穫できるということになります。

──2020年のコロナウイルス感染拡大による影響はいかがでしたか?

外食を減らし、家庭で料理を作る機会が増えたためか、地場産の野菜を手に取ってくれる人が増えたと感じています。その中で、新鮮さや美味しさ、生産者が見える安心感などを感じてくれていると思います。

また、地元農家を応援してくれる方々の提案で「かわさき野菜まごころ便」という野菜詰め合わせをお届けする活動も始めました。これは、購入者からも評判がいいそうで、新しい販路を考えるきっかけにもなりました。

──これまで、農業を続けてきてうれしかったこと、苦労したことを教えていただけますか?

自分が丹精込めて作った野菜を収穫できることと、それを食べたお客さんから、おいしかったとほめてもらえたときはうれしいですね。 自然が相手なので、思うようにいかず苦労するときもありますが、それも含めて農業が好きです。

──ふだんの気分転換や癒しの時間はありますか?

趣味はゴルフとプロ野球観戦です。今年は行けていないですが、球場に見に行きたいですよね。

──農家として心がけていることや、これからの目標を教えていただけますか?

地元に住んでいるので、地域との繋がりを大切にして、地域にとっての必要とされる存在でありたいですね。

農業を、子どもがなりたい仕事の上位になれるようにしたい。それは後継者不足の解消にもつながりますよね。

だからこそ、やるからには中途半端ではなく、一生懸命することです。自信と誇りを持って、仕事ができるように心がけています。

──どこで作った野菜を購入できますか?

自宅で直売をしているほか、セレサモス麻生店、スーパー(ヤオコー稲城南山店)などで販売しています。また、近隣飲食店や学校給食などでも使用していただいています。

農園情報

立川農園

住所:川崎市麻生区

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