市川果樹農園 市川史郎さん(川崎市麻生区)

──農家になった経緯を教えてください。

学校卒業後、当時酪農を営んでいた実家に就農しました。50頭近い牛を飼育していたので父と二人で搾乳や牛の世話をし、当時からあった梨の木を自分がメインで栽培してきました。10年前、父の他界を機に酪農をやめ、牛舎の跡地と山の斜面の畑にトラクターが入りやすいよう農地造成をして、現在に至っています。

──市川果樹農園さんでは、何を作られていますか。

果樹は、梨が、幸水、豊水、秋月、夏水、新しい品種の甘太を作っています。実を取らない受粉用の新興も植えています。梨以外の果樹は、栗、うんしゅうみかん、柿も植えたのでもうじき収穫ができるようになる予定です。

果樹以外は、お米、茄子やトマト、ピーマン、万願寺唐辛子、オクラなどの夏野菜、ジャガイモ、里芋、ニンニク、冬は大根や白菜などを作っています。山では、孟宗竹、真竹、淡竹の3種類の竹の子が採れ、原木しいたけも栽培しています。

──今日されているのは、何の作業になりますか

梨の花粉付けの作業です。梨は同じ花の雌しべと雌しべは受粉しないので、実をつけるには異なる品種(品種間で受粉できるものとできないものもあります)の梨の花粉をつける必要があります。そのため受粉用の花粉を準備し、花の一つ一つに用意した花粉をつけていきます。受粉前の梨の花は、雄しべが赤く、受粉すると赤くなくなります。後日、漏れなく受粉するよう雄しべが赤いままの花に再度受粉作業をします。

──花の1つ1つに受粉する作業は大変ですね

梨の作業は受粉作業だけでなく、上を向いた同じ動作が続くので、手が疲れてしびれてきます。また、日差しが強い時はサングラスをかけないと紫外線で目を傷めます。

──梨を育てる工程を教えてください

1月、枝を剪定し、ワイヤーの棚に誘引してテープで止めます。剪定作業は、2~3年後の収穫を考えながら行います。

3月、花が咲く前に追肥をし、花芽が出始めたら、実がつかない下向きの花芽を摘蕾します。余分な花をつけないことで、その分の栄養が木にいくようにしてあげます。

4月の初旬に花が咲き始めて受粉作業の後、4月の終わり頃には花の根本が膨らんできます。花は1か所に集まって咲くので、その集まり毎に大きく膨らんだ1つだけを残して、他は摘果します。

4~5月の間には、追肥をします。

6月、梅雨に入る前に、1本の枝につき、実が5~6個になるよう更に摘果して袋掛けをします。

殺菌、虫よけ、殺虫などの消毒作業を経て、早い品種はお盆前に収穫が始まり、順次9月いっぱい頃まで収穫をします。

──梨の栽培の他に野菜やしいたけなども作られていて、大変ではないですか?

天候に左右されて予定した作業がずれたり、思い通りにならないこともありますが、誰からも指示されず、誰に気を使うこともないので気楽に作業ができるのがいいです。

1人で作業をしているので、新しい作物を作ろうと思ったら、今作っているものが作れなくなることもあります。

お客さんに喜んでもらえるよう心がけて生産しています。

──今後作ってみたいと思うものがありますか

マッシュルームを作りたいと思っています。

──作られている果樹や野菜はどこで購入できますか?

主に、火曜日と金曜日に稲田堤の直売会で販売しています。直売所は、JAセレサ川崎菅支店(川崎市多摩区菅2–1–5 )の斜め前です。こちらは6人の生産者でやっている直売所になります。

竹の子やお米などはセレサモス麻生店でも販売しています。

農園情報

住所:川崎市麻生区

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