イーストファームの高桑正光さん(川崎市麻生区)
──年間何種類くらいの野菜を作っていますか? その中で力を入れている野菜はありますか?
年間約40種類 ですね。力を入れて作っている野菜は、アスパラガス、長ネギ、バターナッツカボチャ、ブルーベリー、みかんでしょうか。
──農業で大事にしていることはなんですか?
畑や作物の状態を良く観察するよう心がけています。 肥料や水分、害虫や病気、天候など作物の生育に影響を与える要因はとても多いのです。 しかし、作物は言葉を話さないので、生育状態を確認し、必要な作業をすることによって安定した品質で提供できるよう努めています。 ただ毎年の天候や作物それぞれの違いなど同じ状態がないため失敗もあります。日々勉強ですね。
──野菜を作っていて、なにが大変でしょうか?
土と自然の恵みがないと農作物は採れませんが、自然の恵みでもある天候に農作物の出来が大きく左右されてしまうことが一番大変なところです。台風の直撃などで育てていた野菜が全滅してしまうこともあります。 強風や大雨の夜は心配で夜中に目が覚めてしまうこともあります。
それが農業の難しさなのですが、農業の醍醐味でもあり、おもしろさでもあると思っています。
──ブルーベリーの栽培は、どのようなきっかけではじめられたのですか?
新規の就農だったので、うちの耕作地の立地条件に合う果樹を考えていました。住宅地の中にあるため、農薬の散布でご近所に迷惑をかけないもの、樹が大きくならないことなどの点からブルーベリーを選びました。当初は摘み取りの観光農園を目指して、妻とスタートさせましたが、ブルーベリー育成中に野菜直売をメインに切り替えたので、今は直売所で売っています。
──高桑さんは、アスパラガス栽培にも力をいれていらっしゃいますね
自分がアスパラガスを始めたときは、周りにアスパラガスを育てている方もほとんどなかったので、新しいものにチャレンジする気持ちで作り始めました。私の栽培方法は、春先から秋口まで収穫する「長期採り栽培」なので、一年を通しての栽培管理が必要になります。
アスパラガスはとても病虫害に弱く、栽培が難しい野菜なのです。栽培を始めた頃は、周りに作っている人がいないうえ、アスパラガスの栽培に関する情報も少なかったので、対策への的確な答が見つからず、大変苦労しました。
収穫してすぐのアスパラガスは生でも食べられるくらい、柔らかく、エグミがなくておいしいです。アスパラガスを他の野菜のように積極的に購入されなかったお客さんが、うちのアスパラガスのおいしさを知り、リピーターになってくださったりすると、苦労しながら栽培してきてよかった思います。
──農業をしている中で、楽しいことや喜びはどんなときですか?
無人販売ではなく、対面での直売販売をメインにしているので、うちの野菜を食べていただいたお客さんの反応をダイレクトに受け取ることができます。直売所を通して、お客さん同士のつながりや、野菜だけではない関係性の連鎖がとてもおもしろいと感じています。
就農したときは、すべてが初めてで、妻の実家が農家なので、義父からも教わりながら、野菜のレパートリーを1つずつ増やしてきました。10年前に直売所を始めたときは、品数が少なくパラソルの下に並べるだけだった野菜が、今では多くの種類の野菜を販売できるようになりました。
お客さんから直接、
「野菜嫌いのうちの子どもが高桑さんのトマトで野菜が食べられるようになった」
「高桑さん所の野菜だけは食べてくれるから忙しくても買いに来る」
など、ありがたい声を聞くと野菜を作るモチベーションも上がります。夏野菜の時期は妻と4時過ぎから販売の準備をしますが、楽しみにしていてくださる方達のことを思って、これまで頑張れてきているのだと思います。
できのよくないものを気づかず販売してしまった時は、返金することもあります。お客様からの「おいしい!」の一言が何よりうれしいから、もっとおいしい野菜を作ることを積み重ねていきたいと思います。
──どこで作った野菜を購入できますか?
自宅直売所やセレサモス麻生店です。
イーストファーム
住所:川崎市麻生区下麻生